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お気にめすまま

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やがて辿る道

前回ブログに書いた、老人から赤ちゃんへ、人生真逆説の追加です。

私には数年前亡くなった祖母がいた。
時々、私の手の甲をつねり、その後自分のしわくちゃの手をつねって、皮膚の張りの無さを比べ、あきらめの表情を浮かべるのだった。
そして70才を過ぎた頃からは、
「夜眠るとき、果たして明朝目が覚めるだろうかと毎晩考える。」
と言っていた。
そして、ご多分に漏れず、長患いしないようにと、毎年「ころり観音」にお参りをしていた。

その頃の私は勿論、若さにあふれていて、そんな話を笑い話のように、聞き流していた。
また、足が痛い、腰が痛いと言われても、その痛みがどれほどのものなのか、思いやることもできなかった。

その時、もし私がその痛みや、悲しみを体験していたら、もっと優しく手をさしのべる事ができたはずだ。

大抵の老人が恐れているのが、ボケ老人になって、家族に迷惑をかけるんじゃないかということだろう。
人生真逆説なら、そんな状態になっても、一日、一日と頭が冴えてくる。
先の見える苦しみなら、本人も家族の人達も辛抱出来るに違いない。

常々思うことだが、お年寄りとは、たくさんの痛みと、不安を持って、それを我慢しながら生きているんですね。
若返ることが無理ならば、せめて年と共に痛みの神経が鈍くなっていきますように。

そして私は、自分のノドをつねり、その張りの無さにため息をつき、それでもあきらめきれず、せっせと化粧水をたたき込むのでした。
by iwasomami | 2006-10-26 00:01