お気にめすまま

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カテゴリ:旅館の話( 36 )

鶴の一声

ふと気がつくと、ピー、ピーという小さな音がしていた。
いや、ピーとは違う、リーンでもないし、ジーでもない。何とも文字では表現不可能な音がずっ鳴り続いていた。
耳慣れない音というものは、大きさに関係なく、非常に耳障りなものだ。まして、それが鳴り続いていると、なおさらのこと。

当初、外から聞こえていると思っていたが、よく耳を澄ませてみると、どうやらその音は、館内のロビーから聞こえてくるようだ。

機械の音か。だとすると、何かが故障したのか。
ああ又修繕費がかさむ。そんな重いが頭をよぎり、ふっと心が沈んだ。

だがやや暫くして、その音の正体がようやく判明した。

秋だということで、主人が電池で鳴る鈴虫の声のイミテーションなるものを買ってきて、フロントの片隅に設置していたのだ。

なんて人騒がせな。

しかし、良かれと思って置いたものだけに、無下に却下するわけにもいかず、一刻も早く電池が切れることを、ただただ祈るのみだった。

フロントの女の子も思いは同じだったようで、一生懸命その機械の上に、石を置いたり、箱に入れたりと、どうにかしてその音が小さくなるよう工夫をしていたが、どんなに音が小さくなっても、耳障りな事には変わりはなかった。

みんながほとほと困り果てていたその時、その側を通りかかったお客様がぽつりと一言、
「なんか、耳鳴りがする。」

その一言で、その偽鈴虫は永久追放となった。




ほっ。
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by iwasomami | 2006-11-02 23:52 | 旅館の話

女将達の井戸端会議にて

今日は月に一度の女将の会の集まりがあった。

街中のフラワーポットの植え替えのお手伝いもあり、爽やかな秋晴れの元、いい汗を流す事が出来た。

その後、例会、昼食会と続き、やがて井戸端会議へと移行していった。
そこで私は昨日ブログに書いた、困ったお客様について話をした。
驚いた。
誰一人驚かなかったことに驚いた。

「うん、あるある。それよりも・・・」
といった感じで流されてしまった。

忘れてた。
以前、備品が無くなって困る、という話をしている時、
よその旅館では、ガスコンロや、テレビ、布団など、到底信じられない物が紛失し、我が家のお客様の品の良さを、改めて感じた事があたっけ。

それにしても、あれよりすごいって、他の旅館では、いったいどんな事が起きているのだろうか。
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by iwasomami | 2006-10-11 21:17 | 旅館の話

思いがけない一致

時にお客様は、思いがけないいたずらをする事がある。

これは、あまりにもあまりな話なので、ブログに書こうか書くまいか、二日ほど悩んでいたが、思い切って書いてみる事にした。

尾籠な話なので、飛ばして下さっても結構です。

事の発端は、フロントの女の子の
「女将さん、○○号室のお風呂が・・・」
との連絡から始まった。

駆けつけてみると、確かに匂う。
排水口に間違いない。
覗いてみると、あった、結構な量のウンチが。
因みに、この部屋は、お風呂はとトイレは別の所になったいる。

話を聞いたときから、もう覚悟は出来ていた私は、すぐにゴム手袋をし、ビニール袋に掬っては入れ、掬っては入れ、あとは水で一気に流すよう指示し、作業を終了した。

以前書いた駅のトイレもそうだが、人の集まる所では、必ずこの手の苦労はついて回る。
そんな時は
「今はこんな姿だけれど、本を正せば食べ物なんだ。」
と思いこむよう努力し、一気に作業に取りかかるようにしている。

その後、石けんとタワシで何度も手を洗ったが、匂うはずがないのに、私の手が、鼻が、目が、記憶している。
その時、唐突に、「冬のソナタ」のワンシーンが頭をよぎった。
倒れてきた木材からチュンサンを救って怪我をしたユジンが、病院でサンヒョクに言った言葉。
「チュンサンを忘れようとしても、私の、心が、目が覚えているの、サンヒョク、私どうしたらいいの。」

涙ながらに見たシーンだったのに、こんな時に思い出すなんて、私、どうしたらいいの。
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by iwasomami | 2006-10-10 23:07 | 旅館の話

フラガール

昨日、映画「フラガール」を見た。
映画は、一人で見るに限る(泣ける映画ならなおさらのこと)が信条の私、もちろん今回も一人で見に行ってきた。

座って辺りを見渡してみると、まあ、なんとカップルの多いことよ。

まあそんな事はどうでもよい。
暗くなるのを待って、早速夕食のおにぎりを食べる。
これおばさんの特権かな。
一応礼儀として、次回公開予告のうちに食べ終えることは心得ている。
それと、醤油味、海苔の付いたもの、噛むとき音のするものは食べない。
言い忘れたが、おやつ、飲み物付きの夕食持参だった。

さて、いよいよ「フラガール」

よかったヨー。
中間を過ぎる頃から、涙が止まらなくなった。
でも、自分でも、なぜ涙が出るのか解らない。
悲しいわけでも、際だって可愛そうなわけでもなく、強いてあげれば、感動、かな。
感動して涙が出るのは、滅多に無い事だったので、いささか戸惑ってしまい、涙腺が壊れた、と思った。

83才になる義母にも勧めているが、兄弟が炭坑で働いていた事があった母は、落盤事故のサイレンが今でも耳に残っており、穴の中や、映画館の様な暗い所に閉じこめられる状態が怖いと言って、あまり乗り気ではない。

昔、「ハワイアンセンター物語」という実話を読んで、感動した事があったが、映画内容がほとんどそのままだったので、それも又、良かった。

そんなこんなで、昨夜は、余韻を噛みしめながら、床につきました。
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by iwasomami | 2006-09-27 23:34 | 旅館の話

久しぶりにコマーシャル

今、我が町では昔懐かしいボンネットバスが、走っている。
フラガール号と銘打って、12月17日までの、土、日、祝日のみの運行ではあるが、無料で乗車出来る。

街に出るとあちこちに「フラガール」の旗や、ポスターが目につき、まさにフラガール一色。

映画も、今日辺りは満席だったようで、いつもなら平日は夕方からしかオープンしない映画館も、ここぞとばかりに、朝10時からきっちり始まり、6回も入れ替えがあるようだ。

映画を見た方の感想は、大変好意的で、関係機関の方にもメールがあり、もしアカデミー賞をとった暁には、当時の功労者の方達を表彰すべきだとの熱い声も上がっている。

たった一本の映画が制作されただけで(と言っては大変失礼な言い方だが)街がこんなにも活気あふれるものになるんだなーと、今更ながら、驚いている。

湯本温泉の温泉はとても素晴らしいと、お客様方が口々に褒めてくださる割には、今ひとつ知名度が低かったこの温泉地が、この映画をきっかけに新しく生まれ変われることを祈って、今日は終わりにします。

兎にも角にも、一度湯本においで下さいませ。
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by iwasomami | 2006-09-25 20:35 | 旅館の話

泣きたくなる時

まれに、ご予約頂いたいお客様がお越しにならない事がある。
旅館側としては、もちろん部屋を確保し、料理をご用意、又は、下ごしらえをしてお待ちしていわけだが、到着予定の時刻になってもお見えにならない時のあの不安な気持ちは、味わった者にしか解らないだろう。

今日も一件不泊まり事件があった。
ご到着予定は4~5時。6時過ぎまで待って自宅にTELしてみたが、勿論連絡がつかず、いやーな雰囲気が漂ってきた。
その時、一本のTELが。
「予約した**ですが、迎えに来てもらえますか。」
「今どちらにいらっしゃるのですか。」
「安芸の宮島の・・・・です」

え?そこは広島、ここは福島。
「後で折り返しTELします。」
と言ったっきり音沙汰がない。

こんな事もあった。
「**様ですか」
「はい」
「ご予約のお時間がだいぶ過ぎていらっしゃるのですが、今どの辺りですか。」
「え?あ~、え?あっ。」
もうこの時点で、予約の取り消しを忘れたんだな、という事は明らかだったが、先方はとっさに、しらを切ることに決めたようで、
「名字は**ですが、名前は○○です。お間違いではないですか」
「お名前は××さんではないんですか」
「いえ○○です」
「ではお宅に××さんという方はいらっしゃいませんか」
「いえ知りません」
「そうですか、実は旅館のご予約を頂いていて、お部屋も、お料理の準備もしてお待ちしているんですが。お出でにならないので心配しているんです。」
「でも、そういう人はいないんです。」

TELを切った後も、釈然としないままに主人にその旨を告げると、どこをどう調べたのか、間違いなく本人であることが解り、当人もウソを認めたという。

曰く、身内が突然入院することになり、慌てていたので、うっかり連絡を忘れたという。

私達は鬼でもなければ蛇でもない。
事情によっては、逆に同情することも多々ある。

でも、お願いだから、連絡だけはしてね。

因みに、人数にもよるが、キャンセル代は1週間前からかかり、当日不泊まりは、原則として100パーセントというのが一般的です。

キャンセル代の請求を、お客様にしなければならないのは、とても辛い事なんですよ。
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by iwasomami | 2006-09-11 23:16 | 旅館の話

楽しんでいただけましたか?

第3回岩惣縁日&紙飛行機大会が行われた。
縁日は主人が担当し、紙飛行機は私の担当になっている。

お客様が到着した時に、紙飛行機用の紙(と言っても、B5のコピー用紙だけど)をお渡しするのだが、出来るだけ男性に差し上げるようにしている。

その時の反応がさまざまで、
1 喜ぶ(やる気満々)
2 照れる(フフンて感じ)
3 反応なし(あくまで反応なし)

子連れのお客様は8割方顔を出すが、紙を手にしていらっしゃる方は、その半数ぐらい。
たぶん、大の大人が今更紙飛行機だなんて、と思っているのだろう。
しかし、みんなが飛ばし始めると自分もやってみたくなるらしく、結構紙をもらいに来る。
そして、はまる。

お母さんの雰囲気は割合似ているが、お父さんの様子は様々で、
1 少年に戻ってしまう人
2 技術を追求する人
3 子供の為にやっているんだよ、というポーズを最後まで崩さない人

そして子供達は、自分の親が飛ばす時、いじらしいほど真剣に応援する。
少なくても、この御家族達に、家庭内暴力や幼児虐待の影は微塵もない。
優しいご両親に恵まれてあなた達は幸せね、と言ってあげたくなる。

まれに、ご夫婦だけで参加される方がいらっしゃるが、とてもほほえましく、そんな夫婦になりたいと思う。
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by iwasomami | 2006-08-21 23:27 | 旅館の話

無題

夏休み、まだまだ真っ只中。
なのにガクっと疲れが出てしまった。
多分、長期滞在の学生さん達がお帰りになったからだと思う。
あわせて、娘も帰ってしまったし、一気に寂しくなってしまった。

今回ばかりは、娘も疲れただろう。
帰省した次の日には、じゃんがら念仏踊りの太鼓を6軒もたたいていたし、旅館の仕事もそれなりに手伝ってくれたしね。

今年のじゃんがらは、いつも以上にお客様方に受けた。
年配の方はもとより、学生さん達若者も、じゃんがらの迫力に圧倒された様子で、自称じゃんがらお宅の私としてはニンマリ。

娘よ、ご苦労さん。

それにしても、息子は元気か。
職場が楽しくて、少々太り気味らしいが、情報が少なすぎて、それ以上のことは解らない。
まあ、息子の性格からして、さほど心配はしていないが、そのうち、ふいに職場の窓口に立ってみたいと思っている。
覚悟して、待っててね。
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by iwasomami | 2006-08-19 23:51 | 旅館の話

年頃の娘を持つと・・・

今日で学生さん達の滞在9日目。こんなに長く同じお客様がお泊まりすると、自ずとその中でお気に入りが出来てくるものだ。
もちろん、年頃の娘を持つ母親として、婿殿の理想像があり、それが基準になる。

それとなく娘に尋ねてみたが、驚いた事に、私とは全く好みが違うらしい。

そんなことを、「イルカはクジラの子」の彼女(彼女については、6月17日のブログを見て下さい)に話すと、
「良かったですね、娘さんとだぶらなくて。」
と言われた。どういう意味?もうそこまで気は若くないですよ。

そういう問題ではなく、出来ればだぶって欲しいと思っている、いや、だぶってくれないと困る。
でないと、実際娘が彼氏を連れてきたとき、悩んでしまうではないか。

以前も、娘と理想の男性像について話し合った事があったが、一つ一つの理想は合っているのに、なぜ総合すると違う男性像になってしまうのか。

外見は私の理想で、内面は娘の理想の婿様。これが私の妥協案である。
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by iwasomami | 2006-08-18 00:07 | 旅館の話

まずは、めでたしめでたし

今日は学生さん達の最初で最後のオフ日。
みんなどんな一日を送るのかなと、興味をもって見ていたが、意外な事に、3分の2の人達は何もしない日に決めたようだった。
毎日汗だくで練習をしているので、しょうがないか、とは思うが、少々もったいない気もする。

アクティブ派は、鍾乳洞の探検コースで汗をかいたグループ、トンボ玉のストラップ作りに挑戦したグループ、国宝の白水阿弥陀堂に出かけたグループなどに別れ、それぞれ良い思い出ができたようだ。

我が家からも何か思い出のプレゼントをと思い、「紙飛行機大会」を開催してみた。

これが大成功。

紙飛行機を折るのは子供の頃以来だと言っていたが、童心に返って楽しんでくれたようだった。

しかし、野球のボールを投げるのとは違い、さんざんな結果に終わった。いっそのこと飛行機を折るんじゃなく、丸めて投げた方が良かったんじゃないかと思ってしまった。
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by iwasomami | 2006-08-16 00:01 | 旅館の話