2006年 12月 06日
我が道を行く義母
初めて義母に会った時、彼女はロングドレスを着ていた。
いや、ロングドレスというより、もう少し普段着に近いワンピースの長い服といった方が良いかもしれない。 とにかく義母は、他の人が普通あまり着ていないものを着るのが好きだった。 今では珍しい正統派もんぺを街着にしたり(それを義母は大島紬で作った)、薄綿を入れた袖のない羽織、たくさんの綿を入れ、長めに作った前袷の半天など、そんな服をさらっと着こなすのが上手だった。 そんな義母が、孫達を放っておくハズがない。 初めての女の子が生まれてまもなく、どこそこの風習だとか言って、娘の頭をこけしのようにしてしまった。 ビンコだけを残し、同じ長さに短く丸く切りそろえられた娘は、どこから見てもこけしそのものだった。 こけし娘を連れて町に出ると、多くの人が必ず振り返った。わざわざ声を掛けてくる人までいた。 そんな反応が恥ずかしいやら、嬉しいやらで、義母の気持ちが半分だけ理解出来た。 また義母は、息子が保育園の時、一枚の服を作ってくれた。 通園服が自由なのを良いことに、またもやもんぺを作ったのだ。 紺色の絣のもんぺを着せられた息子は、まるで小さな忍者のようで、そんな姿で園内を走り回る息子は、親ばかのようだが、何とも言えずに可愛かった。 これは全く義母の作戦勝ちだったと思う。 そのうち義母は、とうとう私までその手に掛けようと思いたち、ある日チャイナドレスを買ってきた。 最初は辞退していた私だが、そのうちふとその気になってしまい、短い間だけだったが、それが旅館での私の制服となった。 全く、若気の至りとしか言いようがない。 そんな義母も今年で83才になる。 今でも現役の義母は、相変わらず彼女なりのおしゃれを楽しんでいる。 そんな義母のお陰で、我が家のアルバムには、他家には見られないような変わった写真が残されている。
by iwasomami
| 2006-12-06 21:43
|
カテゴリ
以前の記事
2008年 05月 2008年 04月 2008年 03月 2008年 02月 2008年 01月 2007年 12月 2007年 11月 2007年 10月 2007年 09月 2007年 08月 2007年 07月 2007年 06月 2007年 05月 2007年 04月 2007年 03月 2007年 02月 2007年 01月 2006年 12月 2006年 11月 2006年 10月 2006年 09月 2006年 08月 2006年 07月 2006年 06月 2006年 05月 おすすめブログ
検索
タグ
その他のジャンル
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
|