お気にめすまま

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真相は闇の中

子供の頃、母はよく私達兄弟の服を作ってくれたものだった。
そして、4人兄弟の中のたった一人の女の子だった私は、誰よりもたくさん作ってもらった。

その中で、今でも忘れられない服が3着ある。
一着は、これ以上ないほど女の子らしいヒラヒラがいっぱいついたワンピース。
しかし、この服を着た思い出は残念ながらない。
それは写真の中だけにある思い出の服だった。

写真の中の私は、クリクリのパーマをかけ、精一杯背筋を伸ばし、まっすぐ前を向いている。
数ある写真の中でも一番のお気に入りである。

そしてもう一着の服は、エンジ色のアロハシャツ。
よほどこの柄が気に入ったのか、あるいはとても安く手に入ったせいなのか、母は子供全員のアロハシャツを同じ生地で作った。
そして、お揃いの麦わら帽子に同じ生地で飾りを付け、悦に入っていた。
その頃ショートカットにしていた私は、半ズボンをはかされ、まるで男の子のようだった。

最後の一着はスカート。
ウエストにゴムの入った茶系の花柄のスカートで、気に入っていつもはいていた。

ところがまもなく、母のもったいない精神のお陰で、そのスカートのランクは一気に下がってしまった。

当時、テレビはとても高価で、何処の家にもあるというものではなかった。
幸い我が家では比較的早くテレビを買った為、夕方になると近所の子供達がこぞってテレビを見にやってきた。

それほど高価なものだったので、大抵それは床の間に置かれていた。
そして、テレビ専用のカバーなるものまであった。
こともあろうに、そのカバーを私のスカートの余り切れで作ってしまったのだ。

ショックだった。
スカートとテレビカバーが同じ生地だなんて、幼心にプライドが許さなかった。
それ以来、友達がテレビを見に来ている間、私はわざわざスカートを履き替える羽目になった。

しかし最近、あることに気づいてしまった。。
幼い私のスカートよりも、テレビのカバーの方が断然多くの生地が必要だったのではないか。

ひょっとすると余り布で作ったのは、私のスカートの方だったのではあるまいか。
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by iwasomami | 2006-12-02 00:37